連載:戦国未来の古文書お気軽読み 第11回 『井伊家伝記』「第1段 九条家之公家備中守共資公初て遠州下向之事」


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古文書に魅了されて早うん年の戦国未来(せんごくミク)と申します。

今回ご紹介するのは、『井伊家傳記』より「第1段 九条家の公家・備中守共資公、初めて遠州下向の事」です。

『井伊家傳記』は、龍譚寺九世住職・祖山法忍が、記録や口伝を基に、正徳5年(1715年)に書き上げた井伊家の由緒書(全66段)で、龍潭寺に保管されています。写本は数多く存在しますが、中でも二宮神社の神主の中井直恕(『礎石伝』の著者)による元文5年(1740年)の写本「乾坤本」(彦根市立図書館蔵)には独自の注が付けられていて、注目に値する写本となっています。

内容はと言うと、たとえば、井伊直平引馬城主であったとするなど、史実とは思われないことも書かれていますが、遠江井伊氏研究のバイブル(基本史料)であることには間違いありません。

 

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では、早速、「第1段 九条家の公家・備中守共資公、初めて遠州下向の事」について読んでみましょう。

【未来のお気軽訳】 九条家の公家・備中守共資公、初めて遠州下向の事

一 大織冠こと藤原鎌足12代後胤である藤原備中守共資公は、(藤原北家良門流の)公家であり、第66代一条天皇の御世、正暦年中(990~995)に、「綸命」(天皇の命令)により、(都から)遠州国の村櫛郷(井伊保(「保」は所領の単位で、「井伊保」とは「井伊領」の意)の3里(12㌔)西南にある海辺の郷)に(都から)下って住んだ。巡検史として遠江国中を巡検し、毎年、御所へ「物成」(収穫物、年貢)を上納した。(その働きぶりが認められ)数年後には、(遠江国司(遠江介)に任命され、遠江国一国を預けられた。(国司退任後は)村櫛郷(の志津(「新津」とも))に城(城跡は、今も残っている。「城山」と呼ばれている)を築いて住んだ。共資公は、村櫛郷で娘は儲けたものの、息子は生まれなかった。それで、常に「息子を授けたまえ」と神や仏に朝夕、怠らずにご祈願された。

です。

 

<写真1:藤原氏・井伊氏・貫名氏系図>

<写真2:城山山麓の「志津古城址」碑>

<写真3:「志津城跡」案内板>

<写真4:「藤原備中守共資公之墓」(城山山頂)>

 

浜名湖ガーデンパーク(浜名湖花博(パシフィックフローラ2004)の会場。静岡県浜松市西区村櫛町)の北側に「志津城」(「新津城」とも)があった城山があります。浜名湖干拓用土の採土ために城山は削り取られましたので、城の痕跡は全く残っていません。山麓に藤原氏居館があったとのことですが、まだ見つかっていません。

山頂に「日蓮大聖人御遠祖 村櫛村開創者 藤原備中守共資公之墓」と彫られた石碑があります。日蓮は井伊家庶子家の貫名氏の出(写真1の系図参照)ということで、日蓮堂が建てられ、その裏にこの藤原共資の墓がたてられました。

 

どうでしたか?

感想をコメント欄に書いていただければ幸いです。

では、最後に原文を載せておきますね。今回の記事を参考に、解読に挑戦してみてね。

 

九条家之公家備中守共資公初て遠州下向之事

一 大職冠十二代之後胤、備中守共資公者公家にて、人皇六十六代一條院正暦年中に、綸命を蒙て、初て遠州村櫛之郷(井伊保ゟ三里西南之海辺)に下て居住春。遠江國中を巡検シて、毎年禁中江物成を運上春。數年之後、遠州一國を預りて、村櫛之郷に居城(城地之旧跡、今に有之。城山と名ク)。共資公村櫛にて女子を沫ふけて男子なし。常に男子を授給へと佛神に朝夕に御祈願不懈也。

(つづく)

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井伊谷城と井殿の塚の訪問記~駐車場情報など【おんな城主・直虎】
井伊直盛と祐椿尼【今川義元の家臣で井伊直虎の父】桶狭間での討死~おんな城主直虎

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