彦根・宋安寺 戦国時代の見どころ満載である彦根城下にある名刹

彦根城の城下町にある彦根・宗安寺(そうあんじ)は、高崎・安国寺を移した浄土宗のお寺です。

1590年に徳川家康江戸城に入った際、箕輪城主に井伊直政が就任しています。
その後、井伊直政は居城を高崎城に移しましたが、この時、井伊直政の正室・花(唐梅院)の両親を供養する為に、荒廃していた高崎・安国寺を復興させました。
安国寺の名称は足利尊氏が名付け親とされます。

井伊直政の正室・花(唐梅院)の父と言うと松平康親です。
花の母は正室であった江原政秀(江原丹波守政秀)の娘ですので、この両親の供養を行ったのでしょう。
家臣には厳しかったと言う井伊直政ですが、優しい一面もあったのではと感じます。


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1600年、関が原の戦いのあと、かつて石田三成が城主だった佐和山城に井伊直政は移りました。
この時、彦根に高崎・安国寺を分離させて、佐和山城近くに建立したのが彦根・宋安寺となります。開山は成誉典応です。
宋安寺の名称は、正室・花の両親の戒名を1字ずつ取ったとされています。

1603年、彦根城の築城が開始されると、宗安寺も城下町の真ん中に移築されました。現在の夢京橋キャッスルロードにある場所です。
同じ浄土宗を信仰していたことから、彦根藩における徳川家康の位牌奉安所と指定され、歴代の彦根藩主も自ら参拝に来るなど、宗安寺は彦根藩から保護されました。

石田三成が改修した佐和山城の建物も宋安寺へ移築されていましたが、1701年の彦根大火の被害を受けてしまいました。
そのため、現存する戦国時代の建物は、佐和山城の正門(大手門)だった「赤門」のみとなります。

宋安寺の赤門

馬に乗ったまま駆け込めるよう、敷居が無いと言う珍しい構造の門になっています。
「薬医門」と言う形式で、瓦屋根が前にせり出しており、門構えが迫力あるように工夫されており、見ると威圧感を感じます。

なお、彦根大火のあと、本堂には長浜城の付属御殿が移築されたとの事です。
ページトップ写真の建物です。

境内に飾られている「鬼瓦」は、1784年頃の物で、高さは2.6m、横幅2.5mあります。

宋安寺の鬼瓦

鬼瓦には徳川家の葵の紋が見えます。

宗安寺の鐘楼

上記は鐘楼です。

有料拝観にて見学できる宋安寺のご本尊・阿弥陀如来(鎌倉時代の仏像)は、淀殿の念持仏だとされ、大阪城の仏間から井伊家の家臣が持ち出したものだそうです。
また、書院にある地蔵尊と千体仏は石田三成の念持仏と言われています。
ただし、仏様の写真撮影は禁止との事です。(仏様以外の撮影は許可されています。)

下記が有料拝観で見学できる彦根・宋安寺「庭園」の様子です。

彦根・宋安寺の庭園

彦根・宋安寺の庭園

紅白の砂利を火と水にみなした「彼岸白道の庭」の奥に、徳川家康の位牌を安置する権現位牌堂もあります。

江戸時代には、彦根・宗安寺が江戸へと向かう朝鮮通信使の宿館にもなっており、13回中、11回も高官が宿にしたと言います。

朝鮮通信使

朝鮮通信使がやってくると、街道は見物客であふれたと言い「朝鮮人街道」とも呼ばれたとされます。

本堂左手の墓地には木村重成の首塚(木村重成の墓)もあります。

彦根・宋安寺

上記の地蔵堂の右脇から墓地へと入ると木村重成の墓があります。

木村重成の首塚

これは、大坂の陣にて井伊家の安藤重勝(安藤長三郎)が木村重成の首を取ったと言う事で、宋安寺に葬られたそうです。
安藤家の菩提寺でもあったようで、安藤家の祖先の墓と並べて五輪の塔にて祀ったのですが、敵将を供養すると言うのは井伊家としてもマズイと言う事で、江戸時代の間は、大阪城方の将・木村重成の墓とは公にできなかったそうです。
そのため、安藤家の祖先の墓と言う事になっていましたが、明治維新となり、木村重成の墓であることを公表したとの事です。
武勇名高い伝説もある木村重成ですから、今では特に女性に人気が高く、毎年多くの参拝客が訪れるそうです。

血染めのススキ

徳川家と停戦交渉も担当したほどの武将であった木村重成ですが、その首をくるんでいた薄が「地蔵堂」の横に根付き「血染めのススキ」と呼ばれています。
なんでも、木村重成の血がついたススキが佐和山で根付き、毎年「赤く染まる」ので、血染めの薄(すすき)と呼ばれるようになり、縁の深いこの宋安寺にも移植されたそうです。

幕末になると、宋安寺は藩士の会合にも利用され、下級武士などが、幕府につくか朝廷につくかなどの激論が交わされたと言います。

有料拝観もした場合、見学所要時間は20分といったところです。

宋安寺へのアクセス・行き方ですが、彦根駅からは徒歩で約20分となります。彦根城からだと歩いて8分くらいです。
JR彦根駅からレンタル自転車(レンタサイクル)にて彦根城とセットにすると言う手もあります。
法要が行われている場合には、境内への立入をご遠慮頂く場合があると事ですので、ご理解を。
本堂と庭園拝観(9時~17時)は200円です。
下記の地図ポイント地点は、境内駐車場入口付近となります。

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