別所温泉の歴史と将軍塚、平維茂と鬼女紅葉伝説

信州最古の温泉である別所温泉は、日本武尊(ヤマトタケル)が7箇所に温泉を開き「七苦離の温泉」と名付けたという伝説もあり、古くから七久里(ななくり)の湯、なな久りの里と言われ、七つの苦しみから離れることのできる楽土とされてきました。
一説では「日本最古の温泉」ともされ、枕草子では日本にある温泉の第1番目として挙げられています。

平安時代末期には木曾義仲(木曽義仲)が入湯したとの伝説もありますが、その後、北条氏が別院として使用したことから「別所」と呼ばれました。

この北条氏と言うのは、鎌倉時代中期の北条義政(ほうじょうよしまさ、1243-1282)で、鎌倉幕府では執権・北条時宗を補佐した武将です。
信濃国塩田荘(上田市)を知行すると、安楽寺・八角三重塔を建立するなど多数の寺院を作り「信州の鎌倉」と呼ばれる祖となりました。

戦国時代には上田城主となった真田昌幸や真田家の家臣らも別所温泉で温泉に入っています。
石湯真田幸村ゆかりの外湯になっています。

江戸時代になると、上田藩主の休息・湯治用施設である「温泉屋敷」が、現在の「大湯」脇に作られたと言います。

別所温泉の大湯

そして、上記写真の「大湯」には、藩主らも入浴しました。
この大湯源泉は戦国時代から使われていた模様です。

そんな別所温泉を訪れて歩いていましたら「将軍塚」と言うものがありました。
帰宅してから調べてみますと、紅葉伝説に関連する平維茂(たいらのこれもち)の将軍塚だと言う事が分かりました。


スポンサーリンク


鬼女紅葉伝説

紅葉伝説と言うものは、長野県の戸隠、鬼無里(きなさ、現在の長野市)と、ここ別所温泉にもあります。
具体的な内容は下記の通りです。

紅葉と言うのは女性の名で、なんでも戸隠村(長野市戸隠)で一党を率いるようになり、近隣の富豪の家々を襲撃していたそうです。
その噂が、遠くは京都にも届くと、紅葉を討伐するために平維茂の軍が長野に派遣されました。

平維茂は、平将門の乱を鎮圧し武名を挙げた、平繁盛(いたらのしげもり)の子で、父・子ともに生没年は不明ですが、平安時代中期の武将だと考えらます。

平維茂は戸隠山(荒倉山)にて苦戦するも、別所温泉の北向観音のご加護によって、969年に紅葉を討ち取ったされます。
しかし、この時、17ヶ所の傷を負ったとされ、別所温泉にて湯治をしましたが、亡くなった言います。

将軍塚(別所温泉)

その平維茂の墓がこの別所温泉の将軍塚であると、地元では伝えられてきました。

なお、この墓の形は「円墳」であり、学術的には古墳時代後期の豪族の墓ではないかと推定されているようです。
しかし、平維茂が別所温泉で亡くなった際に、黄金を隠したとも言われています。

松本の安曇野では、朝廷へ反逆したと言う八面大王の伝説もあり、紅葉と八面大王は夫婦であったと言う言い伝えもあることから、実際のところは、朝廷の討伐軍を率いたのが平維茂であったと言う事でしょう。

七苦離地蔵尊堂

将軍塚のすぐ近くには七苦離地蔵尊堂があります。

七苦離地蔵尊堂

「七久里」が「七苦離」に通じて、あらゆる苦難から解放されるともされる信仰から、北向観音の本坊・常楽寺の地蔵尊を、ここに祀ったそうです。
写真はもう夕方で暗くてすいません。

湯かけ地蔵

上記写真は、湯かけ地蔵。

大湯薬師の湯(足湯)

上記は、大湯薬師の湯(足湯)。

行き方・アクセスですが、下記の地図ポイント地点が、将軍塚となります。
目の前に、有料の駐車場があります。
上田電鉄の別所温泉駅からは徒歩5分といったてころです。

以上、簡単に別所温泉について触れましたが、歴史ある別所温泉、皆様も機会がございましたら、是非お出掛けなさってみて下さい。

上田と真田の里巡り情報 
北条時宗とは~元寇を退けた武断派の執権~

コメント

  • コメント ( 2 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. 寺田 みゆき

    一泊目は、ここでした。
    朝日館さんに泊まったのですが、偶然FBで一番仲良くしてる子が同じ宿であることに気が付き(彼女がUPした旅館の料理が私たちが食したものと全く同じだった)急きょOFF会をロビーでしたことが別所温泉での一番の思い出になりました。真田太平記で雪村が入ったとされる石湯にも入ってきましたが、あついけどすぐ慣れてその暖かさが朝まで続くくらいいいお湯でした。

  2. お~、寺田さまご夫妻も、別所にお泊りになられましたか~。
    私は日曜の夜でしたので、ちょっと行き違いですが、それにしてもFBのご友人と同じ宿とは、すごい偶然でしたね~。
    どうぞ、よろしくお伝えください。(‘◇’)ゞ
    明日からはまたしばらく遠征に行きますので、返信はGW明けになると思います。ご了承願います。