大善寺
山梨県甲州市勝沼の「大善寺」(だいぜんじ)(真言宗智山派)をご紹介致します。
この大善寺(ぶどう寺)は、中央高速の勝沼IC近くにあり、国道20号(甲州街道)に面しています。
開創は奈良時代の行基で718年に、薬師如来像、日光菩薩、月光菩薩を安置したとされ、聖武天皇の時代に52堂3000坊を越える大本山でした。
971年に勝沼の豪族・三枝守国が再建したあとには、平清盛や源頼朝から寺領の寄進を受け、鎌倉幕府の執権・北条貞時(北条時宗の嫡男)が1286年に薬師堂などを復興。
山梨県で国宝にしていされている文化財は5点あり、建造物は大善寺の本殿「薬師堂」と、近くの清白寺の仏殿の2件のみです。
例えば神奈川県でも国宝の建物は鎌倉・円覚寺の舎利殿1つだけで、東京都でも国宝の建物は2件だけですので、山梨が少ないと言う事ではないのですが、大変貴重な文化財でして、大善寺の本殿・薬師堂は、有料拝観で内部を見学もできます。
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本堂「薬師堂」の国宝の厨子に安置されている薬師如来像1体、両脇侍像の2体は秘仏で、5年に1回の公開(次は2018年10月1日~10月14日予定)ですが、その両脇には日光菩薩、月光菩薩のだけでなく、大変立派な12体もの十二神将像が並んでおり、他にも武田信春が移した木造役行者倚像など、とにかく数多い立派な仏像が安置されており圧巻です。
薬師堂の内部は撮影禁止でしたので、下記の写真は拝借させて頂いております。
(写真出典:わんこの目線で)
戦国時代には、武田信玄の従妹にあたる理慶尼(松の葉、松葉、勝沼信友の娘、加藤信厚の妹)が大善寺におり、この仏像が安置されている国宝・薬師堂には、1582年3月3日、新府城から岩殿城を目指して逃れたきた武田勝頼は夜にこの大善寺に到着。その際、武田勝頼、北条夫人、武田信勝を迎えて理慶尼は4人で薬師堂にて共に宿泊したと言います。
しかし、700いた兵は逃亡が相次ぎ、翌日には200まで減っていたと言います。
それでも、岩殿山城を目指して更に東へと逃れましたが、小山田信茂が裏切ったとの知らせが届き、武田勝頼一行は天目山へ向かったのです。
・理慶尼の詳細はこちら
上記写真は理慶尼の墓です。
それと、もう1つ、幕末の戊辰戦争のとき、新政府軍の板垣退助と伊地知正治は、東山道から江戸を目指しましたが、勝海舟から命を受けた新選組の近藤勇は、土方歳三、永倉新八、原田左之助らは300の甲陽鎮撫隊を率いて、勝沼までやってきたところで、1868年3月6日、3000の新政府軍と戦闘となりました。
この時、近藤勇は大善寺の薬師堂を本陣にしようとしましたが、徳川幕府ゆかりの寺宝があったことから、戦火への巻き込みを防ぐため、山門前にて指揮を取ったと言います。
まさに上記写真の場所ですね。
大善寺付近の甲州街道にて「柏尾坂の戦い」(勝沼の戦い)となりました。
幕府の甲陽鎮撫隊は脱走が相次いで半分以下となり果てていたこともあり、新政府軍の猛攻に2時間で敗退し、笹子峠を越えて八王子に逃れています。
国道20号はこれまで何度も通過した事があり、ここに「大善寺」と言う名のお寺があることは知っていたのですが、ここまで歴史もある素晴らしい古刹だとは思いませんでした。
京都の寺院にも負けない由緒ある仏像文化財が山梨にもあるのです。
鎌倉の寺院でも、ここまで多数の仏像を一カ所に安置した寺院を見学できるところは記憶にありません。
大善寺の薬師堂(本堂)には説明係の方より2分ほどのお話も聞け、有料拝観ですがこれだけの内容ですので、もちろん納得ですね。
甲府盆地の展望も良い場所ですし、歴史を感じる大善寺はお勧めのパワースポットです。
上記は大善寺の庭園です。関ヶ原の戦いのあとに作られたとか。
なお、ここで抹茶やワインを頂きながら、庭園を眺める事が可能です。
ちなみに、大善寺は宿坊も経営されていて、格安で宿泊もできます。宿坊と言うよりは民宿に近いですが、勝沼に宿泊する際にはいかがでしょうか?
と言うより、今度、是非泊まってみようと思います。ワインが美味しそうです。
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交通アクセス
交通アクセス・行き方ですが、電車の場合JR中央本線の勝沼ぶどう郷駅から徒歩で約30分。タクシーで5分。
まずは麓の大善寺の建物にある「受付」にて拝観料を支払ってから山門の方に向かう方式となります。
自動車の場合は駐車料金が拝観料に含まれます。
駐車場のゲート脇に「受付」があるので、そこで、クルマを降りてまず「拝観料」を先に受付で支払って「車です」と言うと、駐車券をもらえますので、それからゲート先に進んでください。
国道20号沿いにある看板に従い大善寺の駐車場へ入れますが、カーブでスピードがでる所でもありますので、追突事故防止の為に早めにウインカー出してください。
下記の地図のポイント地点は駐車場の入口付近となります。
最後にオマけです。桜が満開の大善寺・薬師堂。
2016年秋のTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(逃げ恥)で、主人公らが「ぶどう狩り」に出掛けた第3話のロケ地として登場した大善寺・薬師堂でした。
・北条時宗とは~元寇を退けた武断派の執権~
・勝沼の戦いとは~新選組の衰退を決定づけた甲州勝沼の戦い(柏尾の戦い)
・近藤勇とは~新選組局長として徳川幕府に尽くした生涯
・理慶尼(勝沼松葉)~大善寺にある理慶尼の墓
・武田信春館(千野館)の解説【武田氏9代・武田信春とは】柳沢峠に逃亡したのか?
コメント
コメント ( 4 )
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大善寺を紹介いただきありがとうございます。とても
励みになります。今後も精進いたします。
お忙しい中、わざわざのコメント、誠に恐れ入ります。
毎年1回は拝観させて頂き、お抹茶やワインも頂いておりますが、ぜひ、宿泊もさせて頂きたいお寺さんです。
また、貴重な文化遺産が末永く、後世に伝わることを願っております。
高田
大善時を紹介いただき、興味深く拝見しました。
ワイン大好きな薬剤師なのですが、薬師如来さまの御開帳を楽しみに待っておりました。今年こそは拝見できるとワクワク休暇を予定していますが、2018年11月1日~14日とかかれていますが、10月1日~14日ではないでしょうか?
小沢様、ご指摘を賜りまして御礼を申し上げます。修正対応させて頂きます。