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廬山寺とは
京都御所や同志社大学のほど近くに、紫式部(むらさきしきぶ)にゆかりある廬山寺(ろざんじ)というお寺があります。
白砂と苔が美しい「源氏庭」(げんじてい)と呼ばれる庭園には6~9月にかけて、桔梗の花が美しく咲き、紫色に彩られます。
この庭園が「源氏庭」と呼ばれるには理由。
それはこの地が紫式部の邸宅跡であり、彼女はこの地であの『源氏物語』を執筆したからです。
『源氏物語』を書いた紫式部
日本人であれば恐らく、源氏物語の作者は紫式部だと知っていることですが、紫式部について知る人は少ないのではないでしょうか。
紫式部がどのような女性であったのかを紹介していきます。
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紫式部は父・藤原為時(ふじわら-の-ためとき)と母・藤原為信の娘の間に生まれましたが、幼くして母を亡くしています。
両親共に藤原北家で藤原冬嗣(ふじわら-の-ふゆつぐ)の系譜にある名家です。
藤原為時は幼少の花山天皇(かざんてんのう)に学問を教授する侍読(じどく)という学者の補佐役でした。
その父親の血を引いた紫式部も幼少の頃から非常に優秀でした。
彼女によって書かれた『紫式部日記』には次のようなエピソードが書かれています。
父ろ藤原為時が、紫式部の弟・藤原惟規(兄という説もあり)に漢学を教えていると、そばで聞いていた式部の方がよく覚えてしまい、父・為時は「式部はなぜ男ではなく女に生まれたのだ…。」と嘆いたそうです。
式部が生きた平安時代、男性は漢字、女性は仮名を使って文章を読み書きしていました。
また貴族男性にとって、漢学ができるということが出世の条件でもあったのです。
そのような時代背景を知ると、為時が嘆く理由にも納得ですし、式部がそれほど漢学に優れていたことが想像できますね。
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長徳4年(998年)、紫式部は藤原宣孝(ふじわら-の-のぶたか)と結婚し、一人娘・藤原賢子(かたこ)を産んでいます。
式部は先に紹介した、現在は廬山寺となっている邸宅で夫・藤原山城守宣孝と結婚生活を送り、娘の賢子を育てました。
しかし長保3年(1001年)に、夫・藤原宣孝が亡くなります。
当時、都で流行っていた疫病でした。
30代を目前にして夫に先立たれてしまった紫式部ですが、その4年後の寛弘2年(1005年)に当時の天皇・一条天皇の中宮彰子に出仕することになりました。
彰子の父・藤原道長と母・倫子の強い要請だったと言われています。
そしてこの頃、『源氏物語』を執筆したと言われています。
『紫式部日記』の記述から、寛弘5年(1008年)には『源氏物語』の一部が書かれていたと考えられ、一条天皇と道長は作者である式部に目をかけていました。
このことから、この頃には既に『源氏物語』が宮中で読まれていたことがわかります。
晴れて宮仕え、しかも天皇の奥さんに仕えることになり、キャリアアップを果たした紫式部。
しかし当初は周囲の女房との行き違いにより、実家に帰ってしまうなど塞ぎ込んでいました。
周囲は式部をあの『源氏物語』の作者だと思うと、学識が高く、近づきにくいと思っていたのです。
そのため式部はあえて、漢字を読めないふりをするなどして周囲との調和を保ちながら過ごしました。
自分の持っている能力をフルに活かせない日々が続きますが、彰子(あきこ)が漢学に興味を示され、式部は女房たちのいない所で、こっそりと教授していました。
このことが式部と彰子の距離を縮ませ、またこのことに気付いた一条天皇と藤原道長からの評価も上がったのです。
紫式部は長和3年(1014年)に彰子のもとを辞し、その春に死去しました(諸説あり)。
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廬山寺には紫式部と賢子の歌碑があり、二首ともに百人一首に入選しています。
百人一首の選者である藤原定家が式部の数ある和歌の中で
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな
を選んだ理由は、『源氏物語』の四十一帖『雲隠』を連想させるためと言われています。
(寄稿)中みうな
さて、廬山寺がある場所ですが、下記の地図ポイント地点となります。
駐車場は約20台あります。
地図は縮尺を変えてご覧願います。
廬山寺の本堂と庭園は有料拝観です、見学所要時間は約20分です。
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