長崎円喜 長崎高資 鎌倉幕府末期の最大権力者

長崎円喜 長崎高資

長崎円喜とは

長崎円喜(ながさき-えんき)は、鎌倉時代末期の武士で、平盛綱(出自不詳)を祖とする内管領・長崎氏の一族です。
長崎氏の先祖は、平資盛の子とされる平盛綱で、北条得宗家の御内人(被官)と言う立場で、北条泰時・北条経時・北条時頼らを助けたのが始まりで、伊豆・韮山城の北にある長崎郷を領しました。
伊豆・長崎荘は、長崎さんの発祥地と言えるかも知れません。
以後、長崎氏は、執権の執事を、代々務めて行きます。

執権・北条時宗が死去し、14歳の北条貞時が9代執権になると、1285年、長崎円喜の祖父にあたる平頼綱と安達泰盛が対立しますが、安達家を滅ぼしました。
しかし、執権を凌ぐ権力を得たため、1293年、北条貞時は、平頼綱の屋敷を急襲し、次男・飯沼資宗らを滅ぼしました。
その後、一族である長崎光綱が惣領となって得宗家執事となり、その子が長崎円喜と言う事になります。


スポンサーリンク



長崎円喜(長崎高綱)の生年は不明ですが、1294年2月に、9代執権・北条貞時の使者として御持僧親玄を訪問した記録がありますので、平頼綱が滅ぼされたものの、長崎光綱と長崎円喜は成敗を免れていたようです。

永仁5年(1297年)、父・長崎光綱が死去すると、得宗家執事(内管領)と侍所所司は、工藤杲禅、尾藤時綱が任じられました。
そのため、内管領を継ぐことができず、しばらく不遇のときを送ったようです。

嘉元3年(1305年)、嘉元の乱にて、執権・北条貞時が、内管領の北条宗方を滅ぼします。
そして、徳治2年(1307年)頃、長崎円喜(長崎高綱)が内管領・侍所所司に就任しました。

延慶2年(1309年)4月、尾藤時綱と共に寄合衆を務めましたが、この頃には出家して侍所所司を次男・長崎高貞に譲ったようです。


スポンサーリンク



応長元年(1311年)、執権・北条貞時が亡くなると、安達時顕と共に指名されて、将来に執権となる北条高時を後見します。
この時、北条高時はまだ9歳であったため、14歳で14代執権になるまでの間に、長崎円喜の嫡男・長崎高資が権勢を強めて行きました。

正和5年(1316年)頃、長崎円喜は、内管領の職を子の長崎高資に譲り、実権を握らせました。

長崎高資の登場

このように、長崎氏は鎌倉幕府の軍事・警察権を掌握する侍所所司、執事として得宗家の家政・財政・行政・司法権を一族で担い、長崎円喜は子らが実権を握った侍所所司と内管領の権力を背景に、寄合衆を主導しました。
寄合衆(よりあいしゅう)と言うのは、鎌倉幕府の最高幹部会議とも言える、催行決定機関です。
このように、鎌倉時代の末期には、北条得宗家の当主すら形骸化し、元弘の乱で滅びるまで、特権的支配層である寄合衆によって運営されました。

正中元年(1324年)、正中の変を起こした後醍醐天皇の行動を弁明するため、鎌倉に下向した万里小路宣房が訪れると、長崎高資らは安達時顕と共に対面しました。

1331年、北条高時によって、長崎円喜らは暗殺されそうになる事件も発覚しています。

1326年、出家した執権・北条高時の後継をめぐって、得宗家外戚の安達氏と対立し、長崎高資は北条一族庶流の金沢貞顕(北条貞顕)を一時期に執権に据えています。
しすし、すぐに金沢貞顕は辞任して剃髪したため、なり手がいないなか、足利尊氏の妻の兄である赤橋守時(北条守時)を執権としました。


スポンサーリンク



しかし、1333年、御家人筆頭の足利高氏(足利尊氏)が、遠征していた京都で反旗を翻し、六波羅探題を攻め落とします。
そして、妹・赤橋登子と、甥の千寿王丸(足利義詮)が、鎌倉から逃れたため、赤橋守時を謹慎処分としました。
更には、新田義貞が鎌倉幕府倒幕の兵を挙げ、鎌倉を攻撃します。
長崎円喜・長崎高資らは、北条高時・赤橋守時ら北条一族と共に鎌倉・東勝寺にて自害して果てました。(鎌倉の戦い・鎌倉幕府滅亡)

なお、桓武平氏長崎氏の一族が、九州・長崎湾の奥を領して、九州・長崎氏になったため、長崎県の地名由来になりました。、

5分で分かる足利尊氏とは
北条高時 鎌倉幕府の第14代執権の生涯を5分で
新田義貞とは 鎌倉を落とした男【新田義貞挙兵の地・生品神社】
後醍醐天皇の負けず嫌いな執念と室町幕府や南北朝時代になった背景
井出の沢の戦い【中先代の乱と町田・菅原神社】
赤橋守時(北条守時)とは 鎌倉幕府最後の執権(16代)も・・・
赤橋登子とは 足利尊氏を支えた最後の執権の妹
政所(まんどころ) 公文所(くもんじょ)とは 鎌倉幕府
平盛綱のわかりやすい解説~北条家の御内人として活躍する長崎氏の祖
鎌倉時代 いつからいつまで?
太平記 (大河ドラマアンコール) 出演者・キャスト

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。